得意の絵をかいてあげる

五月がもう終わる。

結局のところ基本情報の本は買ったきりほとんど読んでいない。少しずつ読んでいこうと思っていたのだけど、その少しずつというのが難しいのだ。

僕が就職したのは、一度はプログラマーとして、スーツを着て仕事をしたいからだった。

というのが僕の考えるクールな回答だが、実際のところはさしたる理由はない。さしたる理由がないのであれば少しでも興味の持てる仕事をしろという周囲の大人の言葉に従っただけだ。

僕は何が不満というわけでもないし、何に悩んでいるわけでもない。いつも思うのは自分自身のことで、そのことだってだいぶ楽観的に考えている。描き続けていれば、いつか絵を褒めてもらえることもあるだろうし、長年の夢であるゲーム制作だってうまくいく。根拠はないけど、信じていなければ続けてはいられないだろう。というわけで僕は信じている。僕自身が夢をかなえることを。

もちろん、一番の不満を言うなら、それらの夢について明確なビジョンを持っていない自分の怠惰さなんだけど、何度も言うように、それら明確なものがないからこそ僕は続けていられるのだ。とは言え、これだって言い訳とか自分への嘘とかって類になるのかもしれないけど。


毎日の楽しみを持つこと、希望を持つこと、信じること、趣味を持つこと。僕はそういうことに関して無自覚だったし、自分は大丈夫だと思っていたんだけど、気づいてみたら僕の中の興味や好奇心はびっくりするくらい薄まっていて、とくにアピールしたいのでもなければ絵も文章も作ることそれ自体、人に言いたくはなくなっていた。ここで幸いなのは、僕がいつでも僕自身をアピールしたいという自己顕示欲だけは変わらずあるということだ。それを言ったら、僕は昔から変わらず、手を動かさない(嘘の)趣味人なのだ。