光が見えているうちに
もちろん……
突然、もちろんから始めたがるのは僕のクセだ。
もちろん、その列車は……、そう、これは列車の話だ。列車で旅をする人の話だ。
もちろん、その列車は、何らかの喩えとしてレールを辿っている。
線路は続くよ、で始まる歌の歌詞は、それは世界をつなぐ終わらないものであると歌っている。でも僕が今想像したレールは、出発地点があり、終着地点がある、ごく一般的なものだ。
ごく一般的なものだから、出発地点はもちろん、そのまま「乗り込んだ駅」であり、終着地点は目的地である「降りるべき駅」だ。
でも最初に言っておくと、彼女たち……、そう、これは女の子の話だ。列車で旅をする女の子の話だ。
もう少し細かく言うと、女の子のふたり旅の話である。それは、やはりただ僕が女の子のふたり旅にあこがれがあるからそうであるだけだ。
最初に言っておくこと。それは彼女たちの乗車駅はお話の中には書かないってことだ。
そしてもうひとつ、彼女たちの下車駅もまた、僕は書かないつもりだ。
なぜそんなことを最初から宣言して書き始めるのか。僕はそれを確信して書き始めることができるのか。
もちろん僕には、はっきりこれと言い切れる理由が作り出せない。それでも、何となくやりたいことは分かる。いや、正確に言えばやりたいことではなく、「できないこと」だろう。
僕には、彼女たちを列車に乗せ、また降ろすことがうまくできそうにないのだ。
そんな状態で……、つまり、自分で設定した主人公にさえ、お話の始まりと終わりを与えられない、その自信がない状態で、僕は何を書こうと言うのだろう。
そのことが心配でもあるし、逆にそれでもいいと刃向かいたい思いもある。
レールを走るだけのお話だ。それしか書けない気がするのなら、それを書けばいいのだし。
さえない前書きもこのくらいにしておこうと思う。
とりあえず三本の話を書こうと思う。もちろんそれを作品として梱包するために、いちおう始めと終わりの二本も書く予定だ。
実を結ばなくてもよいから、僕の頭の中にだけでもストーリーができることを祈る。
もちろんそれが文章になることをもっと望むし、これはゲームのシナリオのためのものだから、ゲームになったらいいなとも思うけど、高望みはせずにやっていこう。