お願い

お願いだから僕を夢中にしてくれ。本当に楽しいこと、本当に素敵なこと、本当に求めていること。本当、だなんてそれをおおげさに思わなくていい。ただ僕を歩かせ続けて欲しい。絵を描いて欲しい。文章を書いて欲しい。音楽に触れていて欲しい。表現というものを考え続けていて欲しい。それがきっといつか大きな感動に変わることもあるだろうし、そうはならないかもしれない。もちろん僕は信じることそれ自体を裏切り、傷つけてきてしまったけど、そのことを理由に僕自身を潰さないで欲しい。

いつか何かが起こるという期待なんて、いつだってしていたわけじゃない。期待よりもむしろ、やっぱり僕はその作業そのものが好きだったはずだ。だからこそ僕は続けてこられたという自信を持っている。そして今それが揺らいでいるのは、まさしく期待が膨らみすぎて、現実が矮小すぎて。だから、お願いだから夢中でやってくれ。何も考えないでくれ。省みないでくれ。お願いだからこれ以上、自分を少しずつ沈めてしまうようなことはやめてくれ。うぬぼれでもいいから、少しだけでもいいからストイックさを発揮してくれ。

諦めなければ夢はかなうと、夢をかなえた人が言っているのだから、諦めないでいれば、そのことが僕の心の中にでもひとつの何かを作ってくれるはずだ。そのくらいの期待は、してもいいはずだ。広く認められなくても。